『鬼滅の刃』上弦の伍・玉壺 気持ち悪いけど「かわいい」の声も?
吾峠呼世晴先生による漫画(マンガ)『鬼滅の刃(きめつのやいば)』(ジャンプコミックス/集英社)に登場する、上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)。魚や水を使った技で霞柱・時透無一郎(ときとう・むいちろう)を苦しめました。そんな玉壺のちょっとかわいいポイントや、無一郎との悪口バトルについてご紹介します。
- ネタばれ注意
『鬼滅の刃』上弦の伍・玉壺とは
上弦の伍・玉壺は、名前の通り壺から頭を出し、眼の場所に口が、口の場所に眼球があるという異様な姿をした鬼です。もうひとつの眼球は額にあり、体のところどころから小さな手が出ています。特徴としては壺を利用したトリッキーな移動と、魚や水を使う攻撃や毒が挙げられます。
初登場は単行本第12巻。上弦の鬼・堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)が炭治郎たちに倒され、激怒した鬼舞辻無惨が上弦の鬼たちを集めたシーンです。
ここで玉壺は、無惨にこう発言します。
「貴方様の望みに一歩近づくための情報を私は掴みました ほんの今しがた……」
次の瞬間、玉壺の頸は胴体と切り離され、怒る無惨の手のひらの上にありました。
「まだ確定していない情報を嬉々として伝えようとするな」
しかし玉壺は恐れるどころか、「無惨様の手が私の頭に! いい…とてもいい……」と考える、変人ぶりを見せます。その後、玉壺は上弦の肆・半天狗(はんてんぐ)とともに「刀鍛冶の里」へ向かいました。

鬼滅の刃 第12巻
玉壺と時透無一郎、死闘からの悪口バトル
刀鍛冶の里を襲う玉壺
刀鍛冶の里へ侵入した玉壺は、刀鍛冶たちが作業している小屋を襲いました。そこへ現れたのは霞柱・時透無一郎と鉄穴森鋼蔵(かなもり・こうぞう)、小鉄少年です。無一郎たちに玉壺は「鍛人(かぬち)の断末魔」と名付けた「作品」を見せます。それは5人の刀鍛冶を殺し、壺へ埋め込んで刀を差したむごいものでした。
これを見た無一郎は「おい いい加減にしろよクソ野郎が」と静かに激怒。玉壺に斬りかかります。
戦闘のさなか、鉄穴森と小鉄をかばい、無一郎は玉壺の血鬼術「千本針 魚殺(せんぼんばり・ぎょさつ)」を受けてしまいました。無一郎は毒を受け、さらに「水獄鉢(すいごくばち)」で巨大な壺の形をした水の中に閉じ込められます。水中で呼吸ができず、窮地に陥ってしまいます。一時は諦めかけた無一郎でしたが、小鉄が命がけで息を吹き込んだことで呼吸が使えるように。「霞の呼吸 弐ノ型 八重霞(にのかた やえかすみ)」で水獄鉢を脱します。
その頃、玉壺は無心で刀を研ぎ続ける鋼鐵塚蛍(はがねづか・ほたる)に、奇妙な対抗心を抱いてしました。しかし、鋼鐵塚は脅威にまったく気づかず刀を研ぐことに集中し、玉壺に傷つけられても作業を続けるのです。鋼鐵塚の集中力は尋常ではなく、玉壺に片目を潰されても研ぐことをやめません。苛立つ玉壺を、水獄鉢から脱出し、痣(あざ)を発現させた無一郎が斬りつけます。
壺から蛸の足を無数に出す「蛸壺地獄(たこつぼじごく)」で対抗する玉壺ですが、無一郎の「霞の呼吸 伍ノ型 霞雲の海(ごのかた かうんのうみ)」で蛸足を切られてしまいます。
「素速いみじん切りだが 壺の高速移動にはついてこれないようだな」
無一郎の攻撃を玉壺はあおります。ですが、無一郎は冷静です。
「そうかな?」 「随分感覚が鈍いみたいだね 何百年も生きてるからだよ」
無一郎の攻撃は、玉壺の頸を斬っていたのです。
玉壺と無一郎が戦う、単行本14巻第120話のサブタイトルは「悪口合戦」。タイトル通り、玉壺と無一郎の口げんかが始まります。思ったことを正面から言う毒舌の無一郎と、ずれた美意識と言語感覚が高い玉壺の罵り合いがコミカルなシーンです。
玉壺と無一郎の「悪口合戦」
「たかだか十年やそこらしか生きてもいない分際で」
そう玉壺が言えば、無一郎は答えます。
「そう言われても 君には尊敬できる所が一つも無いからなあ 見た目も喋り方もとにかく気色が悪いし」
これに対し、壺を「ズニュニュ」と移動し、玉壺も言い返します。
「私のこの美しさ気品…優雅さが理解できないのはお前が無教養の貧乏人だからだ 便所虫に本を見せても読めないのと同じ」
虫にしても便所虫とはひどい言いよう。もちろん無一郎も黙ってはいません。
「君の方がなんだか便所に住んでいそうだけど」
さらに無一郎は「うーん うーん」と考え、次のように言います。
「気になっちゃって……なんかその壺 形歪んでない? 左右対称に見えないよ 下っ手くそだなあ」
芸術家を自称する玉壺にとって、壺をバカにされるのは許せないこと。頭の血管を着せながら絶叫します。
「それは貴様の目玉が腐っているからだろうがアアアア!!!」
血鬼術「一万滑空粘魚(いちまんかっくうねんぎょ)」を繰り出す玉壺。1万匹の魚が無一郎を襲いますが、「霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消(ろくのかた つきのかしょう)」に魚を斬られ、「霞の呼吸 参ノ型 霞散の飛沫(さんのかた かさんのしぶき)」で、毒体液も払われてしまいます。
追い詰められた玉壺は、「真の姿」を表します。
「この姿を見せるのはお前で3人目」 「結構いるね」
いちいち茶々をいれる無一郎に、玉壺は半魚人のような姿を現します。しかし無一郎はノーリアクション。何か言えと怒鳴られて、無一郎はこう返すのです。
「いやだってさっき黙ってろって言われたし… それにそんな吃驚もしなかった…」
怒った玉壺は無一郎を殴りました。この姿での玉壺の手は、速い上に触れられると魚になるというもの。しかも「震えているな怖ろしいか? 先程の攻撃も本気ではない」と言い放ちます。
「どんなすごい攻撃も当たらなかったら意味ないでしょ」
無一郎のあおりに激怒した玉壺は次々と攻撃を繰り出しますが、いつのまにか自分が逆さになっていることに気付きます。痣を発現した無一郎に、頚を落とされていたのでした。
「この下等な蛆虫共…」 「もういいからさ 早く地獄に行ってくれないかな」
玉壺は頚だけになりながらも罵りますが、無一郎に斬り刻まれて塵となります。
玉壺の人間時代、鬼になった理由
玉壺は人間時代、益魚儀(まなぎ)という名前でした。小さい頃、漁で親を亡くしました。玉壺の親は見つかったとき、ひどく傷ついた水死体となっていました。この時、玉壺は親の死体に美しさを見いだしたようです。
玉壺は漁村の外れで暮らし、死んだ魚を集めるといった奇行を繰り返したせいで周囲の人々から嫌われています。
親を亡くした衝撃で精神が不安定になったのではないか、と考えた同じ村の人々は、玉壺を遠くから見守っていました。しかし、玉壺をからかいに行った村の子供は殺された上、壺に詰められてしまいます。
子供を殺された親は玉壺を銛(もり)でめちゃくちゃに刺しました。死にかけていた玉壺はたまたま通りがかった無惨から鬼にされたのです。
玉壺に「かわいい」の声が?
玉壺の見た目は、気持ちが悪いと表現するのが適切ではないでしょうか。血鬼術が魚を多く使うものであることから、生臭そうなイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、壺から頭だけ出しているところは二頭身キャラのようで、ちょっとかわいげがあります。作品を披露する際のウキウキとした仕草にも「キュートだ」という読者の意見も。また、鋼鐵塚と芸術家として張り合ったり、無一郎とムキになって口げんかをしたりと、子供っぽさも残っています。
やっていることは残虐ですが、性格としてはほかの十二鬼月たちよりもかなりコミカルです。
水獄鉢から出てきた無一郎に気付かなかった時も、「それだけ私が集中していたということだ!」とポジティブ気味に考えていました。
二頭身のマスコットっぽさと、ちょっとずれた感覚が、玉壺が「かわいい」といわれるポイントなのかもしれません。
玉壺についてまとめ
玉壺は人間時代から変わった感性で迷惑がられ、鬼になった後も自分の美意識を他人に押しつけて人を殺すという残虐な行為をしています。しかし、作品全体から見ると、無一郎が記憶を取り戻すきっかけとなる重要なキャラクターです。また、シリアスな展開が多い『鬼滅の刃』において、善逸に次ぐコミカルさが印象に残ります。
美少年の無一郎と比較して、自分を美形と勘違いした「悪役」という役割を見事に果たしたキャラクターと言えるでしょう。
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(マグミクス編集部)