『鬼滅の刃』竈門炭吉とは? 炭治郎に残る、祖先の記憶
吾峠呼世晴先生による漫画(マンガ)『鬼滅の刃(きめつのやいば)』(ジャンプコミックス/集英社)に登場する、竈門炭吉(かまど・すみよし)について解説します。※本記事は重大なネタバレを含みます。
- ネタばれ注意
『鬼滅の刃』竈門炭吉とは?
『鬼滅の刃』に登場するキャラクター、竈門炭吉(読み方:かまど・すみよし)は、戦国時代に生きた、炭治郎の先祖とみられる人物です。アニメ版の声優は野島裕史さん。家族は妻・すやこと娘・すみれ、そしてもうひとりの子供がいます。
炭吉の初登場は何巻何話?
炭吉が初めて登場したのは、単行本第12巻に収録されている第99話「誰かの夢」です。『遊郭編』での戦いで、炭治郎は2か月もの間、意識が戻らない重症を負います。昏睡している間、見ていた夢に炭吉が現れました。
炭吉は、炭治郎と同じ耳飾りをつけた剣士と会話をしています。剣士が「炭吉」と呼んだため、名前が明らかになりました。剣士は、炭吉にこう語ります。
「お前には私が何か特別な人間のように見えているらしいが そんなことはない」
「私は大切なものを何一つ守れず 人生において為すべきことを為せなかった者だ」
「何の価値もない男なのだ」
剣士の言葉を聞き、炭治郎は「悲しい 悲しい……」と涙をにじませます。そして、涙を流したまま蝶屋敷のベッドで目を覚ましました。
炭治郎の記憶に残る、耳飾りの剣士
炭治郎が次に祖先の記憶を見たのは、刀鍛冶の里での戦いのさなかです。里を襲った上弦の肆・半天狗に、炭治郎、禰豆子、不死川玄弥は苦戦を強いられます。禰豆子は炭治郎の刀を握り、流れ出た自分の血を血鬼術で燃やします。禰豆子の血で燃えた日輪刀は、黒から赫く色を変え、「爆血刀(ばっけつとう)」となります。
赫くなった刀を見た炭治郎は、「赤くなるんですねぇ」という女性の言葉を思い出します。
「お侍さまの刀 戦う時だけ赤くなるのねぇ どうしてなの? 不思議ねぇ」
「普段は黒曜石のような漆黒なのね とっても奇麗ですねえ」
笑顔で語る女性の姿を、炭治郎は覚醒した状態で「遺伝した記憶だ」と自覚します。そして、女性が語りかけている相手を、夢で見た耳飾りの剣士ではないかと考えます。
赫刀を振るい、ヒノカミ神楽を放つ炭治郎に、鬼舞辻無惨の血を濃く持つ半天狗は、かつて無惨を追い詰めた剣士の姿を重ねて見たのです。
耳飾りの剣士の名前は、継国縁壱(つぎくに・よりいち)といいます。
最終決戦で炭治郎が見た、炭吉の記憶
無惨との決戦で、毒を受けた炭治郎は意識を失います。鬼殺隊士の村田が心肺蘇生を試みている間、炭治郎はまた夢を見ていました。
夢の中で、炭治郎は匂いが全く感じられません。そして、自分の体が炭吉のものとなっているのに気付きます。薪割りをしている炭吉のもとに、縁壱が現れました。
初めて見た夢で赤ん坊だったすみれは、言葉がしゃべれるくらいに大きくなっています。さまざまなことがあった縁壱は、誰かに話を聞いてもらいたいと思い、炭吉と妻・すやこの顔が思い浮かんだといいます。
すやこは縁壱に、剣の型を見たいとせがみます。炭吉はその型を、ひとつも残さずに目に焼き付けました。そして去り際、縁壱は炭吉に耳飾りを託します。遠ざかる後ろ姿に、炭吉は叫びました。
「縁壱さん 後に繋ぎます 貴方に守られた命で…俺たちが」
「俺がこの耳飾りも日の呼吸も後世に伝える 約束します!!」
炭吉の言葉通り、竈門家には日の呼吸がヒノカミ神楽として代々伝えられました。祖先の記憶で縁壱の「正解の型」を見た炭治郎。そのことが、無惨との戦いでの決め手となったのです。
炭吉と継国縁壱の出会い
炭吉・すやこ夫妻と縁壱との出会いについて、本編では描かれていません。単行本第22巻のおまけページ「戦国コソコソ話」に、そのエピソードが書かれています。
すやこは、誰も住んでいないあばら家を見つけ、炭吉とともにそこで暮らし始めます。その家は、かつて縁壱と亡き妻・うたが住んでいた家でした。
縁壱がかつて住んでいた家に戻ってきた時、炭吉と臨月を迎えたうたが、鬼に襲われていたのです。縁壱は鬼からふたりを救い、さらに産気づいたうたのために産婆を呼びにいきます。
産婆を呼びに行っている間に鬼に襲われて妻を亡くした縁壱は、かつてできなかったことを炭吉・すやこ夫妻にしてやることができたのです。
炭吉には苗字がなかった可能性
『鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』には「竈門家」「竈門一家」と記載されていますが、作品本編では「炭吉」の表記しかありません。日本で全ての国民が苗字を名乗るようになったのは明治維新後のため、戦国時代に生きた炭吉には、当時、苗字がなかった可能性もあります。
竈門炭吉に関連するキャラクター
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
(マグミクス編集部)